ベトナム代表の監督は、’00年のアジア杯で日本代表を優勝に導いたフィリップ・トルシエ(68)。日本を熟知する指揮官が敢えて″古巣″の弱点を指摘した。

「アジア杯に臨むにあたり、日本の試合をすべて見て、中盤に守備ブロックを構築することに決めた。
目的は日本の攻撃を分断すること。
ミドルゾーンからプレスをかけて、彼らが後方からアタックせざるを得ないように強いる。
力関係を考えれば、ベトナムが守備する時間が全体の70%になるから、規律を保ち、組織を維持することをチームに求めた」

「日本代表はロングボールを蹴りこんでこないから、ゲームをコントロールしやすかった。
中村敬斗(23)や伊東純也(30)など危険な選手に注意は払ったし、左SBの伊藤洋輝(ひろき)(24)は中にカットインしてくる傾向がある、といった情報は共有したが、選手個々に対する特別な戦略はなかった」

「敢えて弱点を指摘すれば、ディフェンスということになるだろう。
それは、日本代表がベトナム相手に簡単に2失点を喫したことで明らかだ。
第一にゴールを守るGKの鈴木彩艶(ざいおん)(21)は経験が不足している。
第二に伊藤ら若いDFたちに自信が欠けている。
そして3つめはトランジション――守備から攻撃への切り替えが、スムーズとはとても言えない。
日本がアジア制覇を目指すのであれば、克服していかねばならない課題だ」