岩政監督が練習で見せた「完成形の夢」 鹿島が背負う“常勝軍団”でなければいけない宿命
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だが、この日の鹿島はまるで違った。試合の前々日の練習でもおかしくないような内容だったのだ。
岩政監督がピッチに現れた5分後から選手も登場し始め、10分後にトレーニングがスタートした。
5分ほどのステップワークのあと、すぐにダミー人形やポールを使ったボールの動かし方のトレーニングに移る。
複雑な動きだが、選手がすぐに対応したのは事前にしっかりと説明されていたからだろう。

20分のウォーミングアップが終わると、いよいよ岩政監督の出番となった。
ピッチの上にダミー人形を立て、「シャドープレー」と呼ばれる、選手の動き方を確認する練習が行われる。

監督が「ビデオで説明したことを思い出せ」と言っており、トレーニング前に選手の動きが非常に細かく指示されていたことが分かった。
守備ラインからどうボールを動かすのか、選手の動きはどうなるのか、たくさんのポジションが一度に絡み、攻撃の形を作り出していく。
もっとも次の対戦相手を強く意識した動きと言うよりも、自分たちが目指したい方向性を植え付けるための内容に見えた。

その練習から「タブ付きダブルボックス」という、ペナルティエリア(ボックス)を2つ、やや間を開けて並べ、
GK含めた6人対6人の強度の高い練習を行って、全体練習は1時間で終了。
そこから個人やグループでのトレーニングに移行して三々五々終わりを迎えた。
この日の練習だけでも、岩政監督は新しいチャレンジをいくつも行っているのが見て取れた。

「リブート」の1日をこの日のトレーニングのような内容で置き換えることができれば、戦術練習の時間を増やすことができる。
ピッチの上でのウォーミングアップの短さも特徴的だった。
全体が緻密に連動した動きは、スムーズにできるまでは難しいかもしれないが、でき上がってしまえば攻守において主導権を握ることができる。
そしてそんな完成形の夢を来ていたファンの人たちにちゃんと提示していた。