「関ケ原合戦の新説を検討する」と題した講演会が、岐阜県不破郡関ケ原町関ケ原の岐阜関ケ原古戦場記念館で開かれた。「歴史と文化の研究所」(千葉県市川市)客員研究員の水野伍貴さんが、近年話題となっている新説の中から三つを取り上げ検証した。

 関ケ原の戦いについて、小早川秀秋は開戦と同時に寝返り、決戦は瞬時に終わったとの説が浮上している。水野さんは、根拠とする文書の拡大解釈であると強調。さらに、勝者である徳川方の史料を挙げながら「即座に終わったならば徳川の圧勝をもっと美化しているはず。やはり、一進一退の攻防があって秀秋の寝返りで決着したという従来通りの展開だった」と語った。

 関ケ原町に残る山城跡・玉城が豊臣秀頼を迎え入れるための本陣だったとする説については、複数の布陣図に浅井家の古い城跡であることが記されており、「関ケ原の戦いとは関係ない城だった」と結論づけた。また、家康と西軍総大将の毛利輝元が決戦前日に和睦していたとする説についても否定的な見解を示した。