義光、馬揃えドタキャンす。

慶長十七(1611)年、一月十五日、最上義光六十六歳はこう宣言した。
「来る四月、天童で馬揃えを行う。家中で馬を飼っているものは
全員参加すること。参加者は山形に来て騎馬帳に名前を書いて、
事前申請するように」
これを聞いて家中は皆張り切って準備をすすめ、当日早朝午前四時には
天童に集合した。

さて、この行事は事前に知らせてあったためか見物人が大勢来ており、
数千人はいるのではないかと押すわ押すわの大騒ぎ。
一体どれほどいるかわからないほどだった。

午前六時、義光は着飾った供三十騎を従えて城を出た。
かねての打ち合わせ通り、城持ち家臣から乗り入れようとした時、義光は言った。
「やっぱり、馬揃えは無期限延期としようか」
と、彼はドタキャン宣言するとそのまま城に引き返した。
これには集まった皆( ゚д゚)ポカーン …とした。

こんなに大がかり、数ヶ月かけて準備したのにドタキャンとは、
義光の機嫌を損ねたのかと、家臣数名が彼に問い合わせた。
すると「いや、今日の馬揃えは何の心配もない、皆帰っていいぞ」と
返答があった。