心天(ところてん)売は一本ン半に呼び

(『誹風柳多留』91編、文政9年〈1826〉刊)

ところてんを数えるのを1本、2本と言ったようで、呼び声が一度と半分であることをうがった句である。

幕末近くの上方生まれの喜多川守貞(きたがわもりさだ)は随筆『守貞謾稿(もりさだまんこう)』で、京都や大坂では砂糖をかけて食べ、ところてん1箇が1文(もん)で、江戸では白糖(精製した砂糖で贅沢品)か、醤油をかけて食べ、1箇が2文だと伝えている。
今でも関西では、ところてんに甘い蜜をかけて食べるというが、江戸時代以来の食べ方である。

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