元F1レーサーの片山右京さん(46)ら男性3人が富士登山中に遭難した事故で、静岡県警の山岳遭難救助隊が18日午後0時20分ごろ、
 御殿場口登山道を1人で下山中の片山さんを発見し、無事保護した。まだ見つかっていない2人について、片山さんは「亡くなっている」と説明。
 県警は同日午後2時過ぎにいったん捜索を打ち切り、19日午前6時から再開する予定だ。

 御殿場署によると、片山さんは発見当時、標高2200メートル付近を自力で歩いていた。救助隊員に「仲間を助けられなかった」と話したという。

 同署によると、行方がわからないのは、いずれも片山さんの会社の同僚の堀川俊男さん(34)=横浜市港北区大倉山3丁目=と宇佐美栄一さん
 (43)=東京都八王子市元八王子町2丁目。

 片山さんから事情を聴いた同署によると、今回の登山は片山さんが来月、南極大陸の山を登るための「高所訓練」。3人は17日午前6時半ごろ、
 御殿場口から登り始めたが、力量に差があり片山さんが先行した。無線で話すと、2人の疲労が激しそうだったため、6、7合目付近でテントを張るよう伝えたという。

 片山さんは8合目付近まで登ったが、悪天候のため引き返して合流。午後5時ごろ、片山さんは1人用テントで、宇佐美さんと堀川さんは2、3人用のテントで就寝した。

 風が強く、午後11時40分ごろ、片山さんが外に出ると、隣にあった2人のテントがなかった。150~200メートルほど下でテントと2人を見つけたが、
 堀川さんはパニック状態だった。2人に毛布やシュラフをかけて温めたが、やがて宇佐美さんは泣き出し、ため息をつくようにして動かなくなった。
 堀川さんは奇声を発するようになったという。

 片山さんは18日午前7時半過ぎ、同署に「一緒に登山していた男性1人が死亡した。もう1人の体調も悪い」と伝えた。
 救助を待ったが、堀川さんも死亡したようだったので、午前11時ごろに単独で下山を始めたという。

 片山さんは「初心者の堀川さんに十分な指導をしていなかった。申し訳なかった」と話しているという。県警によると、登山計画書は提出されていなかったという。