NO455 6月7日 『カタールの孤立とイランの利害』 [2017年06月07日(Wed)]
http://blog.canpan.info/jig/archive/6248

カタールがアラブ6か国から、国交断絶のボイコットを受け、苦しい立場に立たされている。この
国交断絶の結果、カタールに出入りする船舶、航空機が止まり、加えて陸上の交通も、遮断
されている。

航空、海運は別として、カタールは大量の食糧を、サウジアラビアに依存しており、その割合は
50パーセントと言われている。陸路を断たれたということは、カタールが兵糧攻めに、遭っている
ということだ。

カタールには周辺アラブ諸国や、トルコから送られる、生鮮食料品が毎日600から800台の
トラックで、運び込まれているが、それらのトラックは、陸路はサウジアラビアとしか通じていない
ために、サウジアラビア経由となっていた。

もちろん、食料品だけではなく、飲料水もしかりなのだ。このため、カタールのスーパーでは
食料品を、まとめ買いする客が、殺到しているそうだ。金満ガス産出国のカタールの庶民が、
何やらかつての日本のオイル・ショック時に、似た状況に置かれている、という事であろう。

もちろん、この国交断絶措置には、銀行業務なども含まれており、今回、カタールとの国交断絶を
決めた国の、幾つかの銀行はカタールの銀行との、取引を停止している。周辺諸国に旅行に
行っているカタール国民は、14日以内に出国しなければならないし、外交官は48時間以内に、
出国しなければならないことになった。

アラブ諸国と関係が断たれたカタールは、どのような状況にいまあるのか、と言えば、カタールは
イランとは良好な関係を維持しており、イランは例外的に今回の状況を歓迎しているようだ。

イランはサウジアラビアが中心になって進めた、カタール・ボイコット作戦について『サウジアラビアの
稚拙な外交の結果。』と批判し、『この動きはイランを狙って始められたものだ。』と評価している。