サウジを「破門」? イスラム教内部に新たな亀裂 - ウォール・ストリート・ジャーナル日本版
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■サウジが除外されたグロズヌイ会議

 アラブ首長国連邦(UAE)のイスラム教財団が共催したこの会議には、
エジプト・カイロにあるアズハル・モスクのイマーム(宗教指導者)、シシ・エジプト大統領のアドバイザーら、
影響力のあるイエメンのイスラム法学者ハビブ・アリ・ジュフリ氏、シリアのムフティー(イスラム法官)などが出席した。
会議の使命は誰がスンニ派イスラム教徒にふさわしいかを決めるのと同じくらい野心的なものだった。

 会議にはサウジの主流派代表であるワッハーブ派だけでなく、スンニ派から派生して
幅広く支持されているサラフィー主義者たちも招かれなかった。
サラフィー主義は、預言者ムハンマドたちの時代の「純粋な」原理に復古することを主張する一派だ。
(チェチェン当局はサラフィー主義を禁止しており、「誤った」服装を着たり、礼拝を行ったりする自国民を定期的に収監している)

 グロズヌイ会議の決議で、スンニ派が伝統的な4つのイスラム法学派を引き継ぐ一派だと定義され、
スーフィーの慣行が称賛されたのは驚くに値しない。一方でこれはワッハーブ派とサラフィー主義が蚊帳の外に置かれたことを示唆する。

■抗議噴出、サウジは「はめられた」?

 グロズヌイ決議のニュースが中東に漏れ伝えられると、イスラム教最大の聖地を管理するサウジだけでなく、
数百万人のサラフィー主義者を破門しようとするこの試みに対し、予想通り反発がわき起こった。

 こうした反発は、特にイランがサウジの正統性を排除するため同様の神学理論を長く援用してきたことも原因となった。
イランのザリフ外相は今月、米紙ニューヨーク・タイムズへの寄稿で、中東の危機を「ワッハーブ派とイスラム教主流派との争い」だと描写した。
ザリフ氏は米国とイランの関係改善につながった核合意の立役者の一人だ。