サウジを「破門」? イスラム教内部に新たな亀裂 - ウォール・ストリート・ジャーナル日本版
スンニ派の盟主サウジを蚊帳の外に置いたチェチェンの国際会議とは
http://jp.wsj.com/articles/SB12281053434115554903104582336861633789988
By YAROSLAV TROFIMOV
2016 年 9 月 27 日 15:16 JST

 中東ではサウジアラビアが主導するイスラム教スンニ派とイランが主導するシーア派の政治紛争が、すでに宗教戦争に変わってしまった。
いまやスンニ派内部の神学論争がこの地域に新たな政治的亀裂をつくり出している。
その亀裂はロシア南部のチェチェン共和国で行われた、当初はあまり知られていなかった会議の結果として生じたものだ。

 チェチェンの指導者ラムザン・カディロフ首長は、スンニ派の流れをくむ「スーフィー」の信奉者だ。
この異端で神秘主義的なイスラム信仰の分派は、サウジが求める厳格なイスラム主義と長く対立している。
サウジの主流派は、18世紀のイスラム法学者、ムハンマド・イブン・アブドゥル・ワッハーブの教えに基づく
厳格なイスラム主義(同じくスンニ派に属し「ワッハーブ派」と呼ばれる)を信奉する。

 カディロフ氏はイスラム反政府勢力の元メンバーで、ロシアのプーチン大統領に極めて忠実な人物として知られていた。
また、同氏は迷子になった猫を探すため、画像共有アプリ「インスタグラム」のアカウントを使って市民の協力を募ったこともある。
少なくともチェチェン以外で、同氏がイスラム教の権威と見なされることはあまりない。

 しかし、ロシアが昨年からイランと同盟を組むシリアに介入し、新たに中東への影響力を強めたのに刺激され、
カディロフ氏は8月下旬にチェチェン共和国の首都グロズヌイで開いた会議に、
イスラム世界で最も有名な指導者の一部を招き入れることに成功した。