最終話5年後のシーンで、文彦の子供である光彦(ひかるの名からも取っている)が
ひかると一緒に仏壇に手を合わせて、父母の遺影と並んで一つの貝殻が安置されているのを見て
「これは何?」と指さすシーンがある
ひかるが言う。「これはね、おばちゃんのとっても大事な人なの」
貝殻を人と呼ぶひかる
もちろんその貝殻は猛がひかるにあげたものと同じような形のものだ
そこで、それはどうやって手に入れたものなのか
最初の貝殻は昭和二年に猛があげたもので文彦が割ってしまったもの
二つ目は海で猛にもらったもので
勇作と結婚しても密かに箱に入れ封印して大事に保管していたもの
しかしそれは昭和二十五年に、再会した猛が以前の猛では無くなってしまったと嘆き
ひかる自身が石で砕いてしまった
だから仏壇の貝殻はどうして存在するのかという疑問がでる
普通考えれば、猛の死後、想い出の海に行った悲しみに暮れるひかるに
猛の霊が現れ、再び貝殻をひかるに手渡したとすればいい
素朴な実在論ではありえないが、何らかの霊的体験をしたひかるを
前提にしなければ、貝殻を人とは呼ばないのだ