10歳ほど年長の従兄に、肘に縫い跡のあるやつがいて
自分が7歳くらいの時に、「これは改造手術の跡だ」と聞かせてくれた

「俺たちは中学生になるとき、全員改造手術を受けないといけないんだ」
「その手術は大人になる試練として麻酔なしで受けるので、気絶するほど痛い」
「俺はこの手術で肘を強化された」

事実、従兄は野球部で地区予選の準々決勝まで進み、
2年でエースピッチャーだったので、すっかり信じ込んでしまった。

「知ってしまうとみんな怖がるから、小学校卒業前に突然発表される」
「お前だけにはこっそり教えてやるから、みんなには絶対言うな」
と真剣な顔で聞かされて、それから4年間ずっと恐れおののいていた。

小6の正月明けに、隣のクラスのやつが春休みに手術を受けるという話を
人づてに聞いてやっぱ現実なんだと、さらにビビり始めた。

しかし卒業が近づいても、なんの発表もなく、あっけなく中学生になってしまい、
恐る恐る父親にその話をしたら、「そりゃ何のことだ?」と目を丸くされた
次の正月に、従兄に抗議したら、言ったことも忘れていた。

ちなみに従兄の肘の傷は自転車でこけて、石で切ったのだと、その時知った。