ジャニー喜多川氏の性加害疑惑を、企業不祥事の視点から考える。
https://sharescafe.net/60479380-20230515.html

・取締役会を開いていなかったジャニーズ事務所

もし役員会が適切に開催されていれば今回の問題は防げた可能性もある。
公式コメントで自ら名ばかりの取締役だったと語る景子氏は経営のプロとして取締役の職務を全く果たしておらず、その責任は極めて重い。

・「知らなかったこと」が罪になる。

文面の疑問についてはいったん横に置くとして、自ら知らないではすまないとあるが、これは道義的責任といった気分の話ではない。
組織内で起きた問題に対して役員が知らなかったのであれば、むしろそれ自体が問題ということになる。

役員には他の役員や社長(代表取締役)を監視する義務がある。これを監視義務という。

見知らぬところで行われた性加害が監視義務に含まれるかは断言出来ないが、監視義務の範囲は取締役会に上程された(議題に上がった)事に限られず、
法的に求められる範囲は決して狭くない(参照・取締役の責任-監視義務違反 弁護士法人朝日中央綜合法律事務所)。

当然、監視義務は景子氏に限らず性加害が行われた時点の役員すべてに求められる。

・第三者委員会の代わりにやることは?

「経営陣、従業員による聖域なきコンプライアンス順守の徹底、偏りのない中立的な専門家の協力を得てのガバナンス体制の強化等への取り組みを、
引き続き全社一丸となって進めてまいる所存です」

不祥事を起こした企業が「偏りの無い中立的な専門家の協力」を得てガバナンスを強化する、通常これは第三者委員会による調査を意味する。
それにも関わらず第三者委員会による調査は行わないという。