私大文系の「数学不要論」を打ち消す早大の数学必須化
https://toyokeizai.net/articles/-/422523?page=2
芳沢光雄ほか

2021年の大学受験で大きな話題のだったのが、早稲田大学の社会科学系・政治経済学部の数学必須化だ
海外では「経済学を学ぶためには、理系並みの数学力が必要」という認識が普通である。政治学に関しても、さまざまな社会問題について統計学的分析が基礎となる時代である

また、東洋大学経済学科では数学を試験科目に加えると、女子学生の比率が増えたそうだ

2019年に経済産業省が発表したレポート「数理資本主義の時代〜数学パワーが世界を変える」では、「社会のあらゆる場面でデジタル革命が起き、『第四次産業革命』が進行中で、この第四次産業革命を主導し先へと進むために欠かすことのできない科学が三つある。それは、第一に数学、第二に数学、そして第三に数学である!」とまで述べている

「2010年頃から、米国の職業案内のウェブサイトで、人気職業の1位や2位に数学者が入るようになった。新産業の基盤はITであり、数学の知識を活用できる人が重要だとわかっていたのだろう。私も日本もそのことに気付くのが遅れた」(日本数学会・元理事長の小谷元子・東北大学教授)

AIとは、人間が行う学習と同等の「学習」をコンピュータに行わせる機械学習を応用した技術のことをいう。機械学習でコンピュータが読み込むデータはすべて数字だ。人の好みや感情も含めてすべてが数値化されるのだ
現代は、人類史上最も数字がモノをいう時代だといっていいだろう。ITの技術が進歩し、機械学習のニーズが高まることによって、数字が判断と予測の基準となる世界が急速に拡がっている

近年、発展が顕著なAIの開発では、微分積分、線形代数、数理統計学といった大学数学の知識が必要だ