>>330
 安藤忠雄氏の建築物を実際に目にしたのは91、92年、熊本県山鹿市の県立装飾古墳館だった。
 装飾古墳館を見た瞬間愕然とした。畑の中に忽然とコンクリートの打ちっ放しの建物がそびえるのだ。それはなんとも異様な光景だった。この異様さはどこから来るのか。それは周辺の風景との非常なアンバランスさからだ。
 さらに驚いたのは、その古墳館で仕事をしている人たちに彼の「作品」がいたって不評だったことだ。なんといっても畑の中にコンクリートの打ちっ放しである。雨が降ればまるで雨漏りのように壁面を湿気が伝う。それよりなにより不評だったのは、内部の使い勝手が悪い上に、壁面にポスターなどを一切張るなと安藤氏から言われたことだったようだ。理由は「自分の作品だから、変なものをベタベタ貼るな」ということらしい。ここまでくれば「建築家」のおごりだ。
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