コロナ禍でも増益、国産ワクチンを開発 川村和夫 明治ホールディングス社長
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20210525/se1/00m/020/003000c

ワクチン国産化
── 医薬品事業は、グループ会社のKMバイオロジクス社が、新型コロナウイルスのワクチン開発に取り組んでいます。見通しは。

川村 「新型コロナウイルス不活化ワクチンKD−414」は、承認申請に向けた第T・U相の試験が、今年3月にスタートしました。国産ワクチンでは初のT・U相試験になります。夏ごろには結果がまとまる可能性があります。その後は第V相に移ります。

 あくまで予想ですが、早ければ22年度の後半ごろでしょうか。承認と同時に直ちに生産できるよう、生産体制の整備も同時並行的に進めています。

── そのワクチンの特徴は。

川村 例えば、他社(ファイザー社など)は、メッセンジャーRNA(mRNA)など新型コロナの遺伝情報を人体に投与し、免疫を作らせますが、このワクチンは不活化ワクチンといって、感染能力を失わせた新型コロナウイルスを投与し、免疫を作らせるものです。
不活化ワクチンは、すでにインフルエンザなど多くのワクチンで使われている手法で、手慣れたタイプです。このため効果や安全性などはかなり高い予見性が期待できると思います。インフルエンザワクチンの生産実績もあるので、生産面でもメリットがあります。

── 新型コロナは変異株が次々と見つかっています。

川村 さまざまな変異株が出てくるということは、ワクチンは国産化した方がよいということだと思います。日本の人口は1億人以上ですから、自国で開発できる体制を整えておくことは非常に重要ではないかと考えています。