「美人募集」「薄毛の方お断り」に怒る人でも、「清潔感のある方募集」には怒らない。

「清潔感は自分の努力で何とか手に入れられる」という前提がそこにはある。

これは大きな間違いだ。なぜなら、容姿や体質などの生まれ持った特性と清潔感は密接に関係しているからである。例えば、どう頑張っても髪がベタベタになってしまう人がいる。

肌がカサカサで不健康に見えてしまう人もいるし、大量に汗をかくせいで腋がビショビショになっている奴もいる。髭は清潔感を損なうと言われるが、肌が弱いなどの理由でどうしても剃れない人だっているはずだ。肌質、髪質、体質など、自分の力ではどうにもならない部分が清潔感と関わってくるという事は知らなくてはならない。

「清潔感のある方募集」と言っている人には悪意が無い。差別意識が無い。

その言葉が人を傷つける可能性があるとは微塵も思っていない。

それどころかむしろ、自分たちが求めているのは必要最低限の礼儀であり、社会人として当然のことだと思っている。そこに差別があることを全く自覚していない。肌質や髪質などは簡単には変えられないという事実を忘れている。その点が問題である。

でも、そういう鈍感な輩も、学校でハーフの生徒が無理やり髪を黒に染められた、なんてニュースがあったらどう感じるだろう?「持って生まれた髪の色を変えさせるなんて理不尽だ!差別だ!」と大騒ぎするかもしれない。あるいはLGBTへの差別や、在日外国人への偏見や、ミスコンを開催した大学には怒るかもしれない。自分だって、清潔感の名のもとに、肌の弱い人や汗っかきな人を排除している事は棚に上げているのだ。

接客業なんだから清潔感が求められるのは当たり前だろ!と開き直っちゃいけない。
自分の何気ない言動に無批判になってはならない(この点は私自身にも反省の余地がありまくるが)

どうしてもと言うのなら、せめて自分は差別をしてしまっているんだ、特定の層を排除しているんだっていう自覚は必要よね。