>>66
柱の影から現れたのは鈴だった。
鈴も私たちのサークルで仲が良かったけど、でもなんで?ももには鈴だけには内緒って言ったのに。
「いやーごめん!偶然鈴ちゃんに会っちゃってねー。誤魔化そうとしたけど、勘が鋭いから…」
レイナがめっちや早口になってる時は嘘を付いてる時。まあ仕方がない。今から鈴に帰れって言っても素直にウンって言うわけないし。
「アヤノちゃんいないんだあ、残念。でも、こうして集まると同窓会みたいだね。みんなで、あっ…」
私の表情が一瞬曇ったのを鈴が見て言い淀んだ。
私と「あの人」と疎遠なのを鈴も知っているからだ。
「やっぱり…私お邪魔かなあ…帰ろっかなー」
「こらー!ついてきたいって言ったのは鈴ちゃんだろー。そんなこと言ういけない子にはおしおきだー♪」
「あははっ!レイナちゃんくすぐったいよー」
またレイナの明るさに救われた。先生にこっぴどく叱られてみんなが泣いてる時も、喧嘩をして険悪な空気になった時もその無邪気な笑顔でみんなに笑顔にしてくれたレイナ。
レイナみたいになれたらな、って何度おもったことか。でも今の私には無理。
「随分と騒がしいね。病院の中だから静かにしてほしいんだけど」