(とある病院のロビー)
汐里はある人と待ち合わせをするために病院のロビーに来ていた。
「早く来すぎちゃったかな…」
「ごめーん!まったー?」
「ううん、私もさっき来たところ。レイナ、急にごめんね。」
「気にしないっ!汐里の頼みならなんでも聞いてあげるから。あはははっ!」
可愛いらしい笑顔で豪快に笑うこの子はレイナ。趣味のサークルの同期で、レイナから声をかけてくれて親しくなった。
現在はボランティア活動をしていて、全国各地に歌を届けたり、出っ歯の噺家さんに弟子入りして寄席にも出たりしているらしい。
持ち前の明るさとバイタリティーはまさに「太陽のような子」
「アヤノから連絡が来ると思うんだけど…あっ、もしもし?アヤノ?元気?うん…わかった!替わるね。」
レイナからスマホを受け取り電話越しのアヤノと話す汐里。
「もしもし?アヤノ?元気?」
「汐里?久しぶり!うちは元気やき。ごめんね、本当は行きたかったんだけど。」
「ううん、急に呼んだ私が悪いの。アヤノの声が聞けただけでも嬉しい。今どこにいるの?」
「今ねー、海のど真ん中。インド洋。ちょうど朝日が昇って海がきらきらしちゅーよ。」
レイナと同じサークルの同期のアヤノ。国際救助隊「天使の涙」に所属しており、災害地の支援や復興に尽力している。
釣りが趣味で、オフの日は7つの海を渡り歩き魚を獲っている。
「そっちに戻れるのは1ヶ月後かなあ。脂のたっぷり乗ったマグロが獲れたき、大トロをご馳走するから。」
「楽しみにしてる。身体に気をつけてね。それじゃあ。」
「アヤノは相変わらず元気だね。さすがは"はちきん"だ。あははっ!」
レイナとアヤノ。進む道は違っても今を楽しく生きている。私にとってかけがえのない、誇らしい「友達」
「それで…汐里、もう1人来てる、と言うか来ちゃったんだけど、ほら!おいで」
レイナがバツが悪そうな顔をしながら呼びかけると、柱の影から女の子がひょっこりと姿を現した。
「鈴!?なんでここに?」