ノーベル文学賞、今年の発表見送り 委員家族の性的暴行疑惑で
2018年5月4日

ノーベル文学賞を選考するスウェーデン・アカデミーは4日、今年の文学賞受賞者発表を見送ると発表した。会員の夫による性的暴行疑惑が浮上して以来、スウェーデン・アカデミーの対応が厳しく非難されていた。

スウェーデン・アカデミーは、今年の文学賞受賞者は2019年の受賞者と共に発表する方針を明らかにした。世間の信頼を失ったことを理由に挙げている。

選考委員で詩人・作家のカタリーナ・フロステンソン氏の夫、フランス出身の写真家ジャン・クロード・アルノー氏に対して、女性18人が性的暴行を受けたと訴え出たのを機に、フロステンソン氏のほか、同アカデミー会長と委員4人が辞任した。

選考委員の中には、伝統を守るために今年も受賞者を発表するべきという意見もあったが、現在のスウェーデン・アカデミーは受賞者を選考できる状態にないという意見もあった。

同アカデミーは、今回の発表に先立ち、ノーベル文学賞の評判に大きな傷がついたと認めるコメントを発表。世間の信頼回復のための対策をとる方針を示していた。

ノーベル文学賞が1901年に創設されて以来、最大の醜聞となった。2回の世界大戦に重なる6年間を除き、同文学賞が発表されなかったのは1935年のみだった。また、当初「該当者なし」だった1936年の文学賞は翌1937年に、米作家ユージーン・オニールに与えられている。

スウェーデン・アカデミーの醜聞は昨年11月に、女性18人がアルノー氏を糾弾したのを機に表面化した。暴行事件の一部は、同アカデミーが所有する建物内で起きたとされる。アルノー氏は加害行動を否定している。

アルノー氏は、同アカデミーが資金提供する文化プロジェクトを運営していた。