>>186
「……手伝おうか?」
「結構です!」

浅倉の米は大量に売れ残っていた。

「別な物を売ろうよ。もっといい物があるよ、きっと」
「声を掛けないで!集中しないとこのお米売れないんだから!」

早々と300食のマグロカレーを売りつくした小片は、何故か帰ることができず、浅倉の背中を黙って見つめていた。

「浅倉が米売ってるぜww」
「フェス卒で売り子www」

脂ぎった顔面に「ド底辺」の張り紙を貼った男達の言葉が、浅倉の胸に突き刺さる。明日は卒コン。米も売れなければ思い描いていたほどCDも売れなかった。
抑えきれない惨めさに、涙の雫がこぼれ落ちそうになったその時

「……笑うな」
「樹々ちゃんを笑うなぁあああ!!!」

小片の激情の叫びが幕張メッセを震わせる。