特別な思いで二十歳の晴れ着に袖を通した人がいる。
ウクライナから佐賀市内に避難しているニャンコ・アナスタシアさん(20)が市職員らの後押しで、
市文化会館で開かれた式典に振り袖姿で参加した。
異文化に胸をときめかせつつ「今年戦争が終わることを信じ、祈っている」と語り、一日も早く母国にも平和な日々が戻ることを願った。
アナスタシアさんは昨年5月に母のナターリャさん(45)と佐賀市内に避難。
11月に20歳を迎え、住民票が交付されていることから「二十歳のつどい」への参加通知が届いた。
母国の民族衣装を着ることも考えたが、避難の際に持ち出せておらず断念した。
県国際交流協会に相談したところ、市を通じて振り袖や着付け、髪のセットまでさまざまな人が協力してくれることになった。
髪型は日本髪に結い上げ、黒地に花やチョウがあしらわれた振り袖を着た。
「日本人とは髪質が違って結い上げるのが難しいと言われた。日本文化を学んでいたので着物は知っていたけど、着るのは初めて」とはにかみ、
母のナターリャさんも「とてもかわいい」と感動した様子だった。着物姿の写真は「毎日心配している」という、ウクライナ西部のリビウに残る父親らに送るつもりだ。
将来についてアナスタシアさんは「いろんな言語を勉強しているので、通訳や翻訳などの仕事を目指せれば」と、戦火の祖国を案じながら志を新たにしていた。
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