http://blog.tatsuru.com/2022/11/13_1038.html

 図書館に向かって「みんなが読みたがるベストセラーだけを並べて置け。読まれない本は捨てろ。そうすれば来館者は増える」と言う人たちは知性と無縁な人間である。だが、今の日本では、そういう人たちが行政の要路を占めて、教育や文化予算の配分を決めている。日本の知的生産性が急坂を転げ落ちるように低下したのも当然である。
 政治家が「市民にこういう本を読ませろ」と政治的圧力をかけてくることに対しては司書たちは十分な抵抗力を持っている。けれども、市場のロジックには抗しきれずにいるように見える。
 図書館は人々の「学び」への欲望に点火する貴重な知的装置である。その「聖域」には市場原理や政治イデオロギーを決して介入させてはならない。