製造させたツナ缶にゴキブリとみられる虫が混入してブランドイメージが傷ついたとして、はごろもフーズ(静岡市)が下請け会社に損害賠償を求めた訴訟で、
静岡地裁から約1億3000万円の支払いを命じられた興津食品(同市)は17日、控訴したと明らかにした。
同市で記者会見した池上浩司社長は「はごろもフーズは半世紀以上も取引した運命共同体だった。異物を混入させたことは申し訳ないが、報道されたことで生じた費用まで負担しなければならないのは、下請け全体に影響が及ぶ問題だ」と訴えた。
代理人の増田英行弁護士によると、賠償額の内訳はクレームに対応するコールセンターの業務委託費用や逸失利益など。
増田氏は「下請けを使って利益を出しているのに、リスクが生じたら下請けに費用を付け替えるのは公平ではない」と述べた。
はごろもフーズの担当者は取材に「係争中なのでコメントは差し控える」とした。
訴状などによると、山梨県内のスーパーで2016年、販売されたツナ缶に虫が混入していたことが判明。
はごろもフーズは報道されて売上高が減少したなどとして、約8億9700万円の損害賠償を求めていた。一審判決は今月8日だった。(共同)