加入件数減少のスカパー

加入件数は00年代は右肩上がりで、02年8月には300万件を突破。
地上波放送のデジタル化に向けて「スカパー!」のチューナーも内蔵した3波共用テレビが爆発的に売れたことも加入を後押しした。

ところが、10年代半ば以降、動画配信サービスのネトフリやアマプラが国内で相次いでスタート。スマートフォンの普及とも相まって、多くの人がスマホで動画を見る文化が急速に広がった。
それに影響されてか、「プレミアムサービス」を中心にじわじわと加入件数が減り始めた。

今年5月末現在、スカパー!217万件、プレミアムサービス75万件、プレミアムサービス光7万件で、3サービス合わせても300万件を割っている。
ちなみにネトフリは、20年には国内会員数500万人を超えている。

加入者は、開局当初に入った人がそのまま年齢を重ねているらしく、中心は40代。キラーコンテンツであるプロ野球の視聴者は主に50代以降だ。
「専門多チャンネルへのニーズはあります。ただ、視聴の仕方も変化しているし、メディアの選択肢が増えて、視聴者が分散してしまっている」。

衛星放送により各チャンネルの番組を届ける手法に、今までのような集客力を期待するのは難しいとの見方だ。

「我々のサービスは、ネットで動画を見る時代の前にできたので、映像は電波をテレビで受信して見るか、ビデオなどのパッケージメディアで見るしかなく、お客さまを囲い込めていたんです。
それが今では、電波ではなくネットで、テレビでなくともスマホで見られるし、お客さまは見たいコンテンツだけ選べる時代になった。そうなってくるとチャンネルという形態である必要性は以前に比べて薄れてきているのは事実です」

さらに、加入者の中にも、「見たい番組が終わったらすぐに解約し、また見たい番組が出てきたら加入するという短期で加入と解約を繰り返すお客さまが以前に比べて増えている」。“見たいものだけ見る”トレンドは加速する一方だ。

今春には、各チャンネルの番組紹介や独自番組を11年から放送してきた「BSスカパー!」を10月末で終了すると発表している。

その際は、「ショーウィンドー的な機能を担っていたが、SNSや動画配信サービスの普及で、一定の役割を果たしたため」と終了の理由を説明していた。