理化学研究所などのチームは、薄くて軟らかいフィルム状の太陽電池を背中に取り付け、充電や無線通信ができる「サイボーグ昆虫」を開発したと、5日付の国際科学誌に発表した。
昆虫の運動能力を損なわずに動きを操作できるのが特徴。がれきの下敷きになった被災者の捜索や、環境モニタリングなどへの活用が期待される。
チームは、サイズが大きめ(体長5~7・5センチ)で無線装置などを載せやすく、羽がなくて飛ばないため扱いやすいマダガスカルゴキブリの背中に、厚さ4マイクロメートルの太陽電池を装着して実験。
接着する部分としない部分を交互に設けることによって、昆虫の動きに合わせて電池も伸びたり折り畳まれたりするように工夫した。
チームはその電力を使い、胸部に装着した無線装置から、体の末端部にある「尾葉」と呼ばれる感覚器官に電流を通して動きを操ることに成功した。30分間の充電で約2分間、操作が可能だったとしている。
理研の福田憲二郎専任研究員(電気電子工学)は「無線は消費電力が大きいので、今後は太陽電池の発電量を向上させたい」と話した。薄型の太陽電池を装着させる方法は、他の昆虫にも応用できるという。(共同)
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