博士まともなこと言ってるよ

 さて、今回、榊英雄~木下ほうか~園子温~梅川治男……と続いている日本版ワインスタイン事件において、多くの女性や若者層が事件の悪質性とは別の角度で憤ったのがメディアやSNS運動のダブルスタンダードな態度でした。

 すなわち山口某案件のように〝政権絡み〟と思われた場合は、夜も日も明けないような大騒動であったのが、今回の告発では、なんとダンマリを決め込む出版社、放送媒体、#MeToo系アカウントの多いこと。

 代わりにくだんのアカウントがここ数日、標的にして大騒ぎしていたのは、邦画界のリアルな性被害よりも、某経済新聞に載った〝二次元〟の巨乳女子高生の漫画広告だったというオチまで付きました。

 園子温問題は基本、テレビでは沈黙です。園監督の作品で主演を果たしてきた女優たちは今やテレビでも売れっ子の実力派揃(ぞろ)い。報じたくても報じられないのか、はたまた別の理由があるのか……。

 こういった傾向は、フォトジャーナリスト・広河隆一氏が、『週刊文春』によってそのおぞましい、性暴力、性行為要求、ヌード撮影といった行為が暴かれたときにも、#MeToo系アカウントが一斉に沈黙するという形で表れました。

 今回の園子温問題でも、元TBS記者問題の時とは打って変わって左翼系のアカウントは沈黙状態。政治思想的に〝仲間〟〝味方〟と認定された人物には甘く、〝敵〟と認定された人物は徹底的に叩(たた)く傾向は続くでしょう。

 園子温問題は、日本特有のSNS構造、デジタル言論の問題点をあぶり出す格好のモデルケースともなりました。

https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20220516/se1/00m/020/002000d