11:15? モーニング娘。'22 [SKY STAGE]

SKY STAGEのトップバッターは、朝から1組だけ物販が長蛇の列になっているという、ファンの方々のマンパワーのものごっつさをこのフェスでも見せつけていた、モーニング娘。'22。まさかモー娘。のライブを見ることになるなんて、こうしてロッキンオンのフェスに出るようになるまでは全く想像していなかった。

揃いの衣装を纏ったメンバー(今何人組なのか、見ても全然覚えられない)がステージに現れると、いきなり歌い始めたのは「ザ☆ピ?ス!」という、自分のようなアイドルに疎い人間でも確かに知っている曲であり、当時とメンバーは全員変わっていても、あのセリフ部分は全く変わっていない。それがなんだか、懐かしいようでいて今でしかないという感じを抱かせてくれる。

とはいえ、まぁそんなかつての大ヒット曲ばかりをやるわけではないだろうな、と思っていたらやはりセトリはフェスだからといってそうした過去曲ばかりをやるものではないものになっていたのだが、そうした曲を聴いて、ライブを観ていて思ったのは、今のモー娘。はみんな歌唱力や、フォーメーションを含めたダンスが実に上手いグループになっているということで、昔はテレビで見てもダンスがバラバラだったり、歌唱力的に大丈夫か?と思うようなメンバーもいたりしたが、今のモー娘。はそうした過去の有名なメンバーが在籍していた時の方が良かった、と言われないように自分たちのスキルを磨き上げて、今のモー娘。が最高のものであるということを証明しようとしているんじゃないだろうかと観ていて思った。

それは「TIKI BUN」のなんと形容したらいいのかわからないようなシュールなダンスもそうであるが、時代を作ったグループなだけに、メガヒット期を支えたメンバーが全員卒業したら、あとは細々と活動していく、みたいな感じには全くなっておらず、こうしてポップフィールドの最前線に立ち続けていることができる理由が、観ていると確かにわかる気がしてくる。

そんな中に誰もが知る大ヒット曲「恋愛レボリューション21」が披露されて、後ろの方で見ていた観客もあの一世を風靡したダンスをみんなで踊ったりしていて、それを見ているだけでも楽しくなるのであるが、曲のサウンドは完全に今の時代に合わせたものにアップデートされており、懐かしさも感じながらもやはり今の時代に合わせて進化を続けていることがわかる。

正直言って、メンバーの判別は全くつかないのだけど、金髪の人がいるな、というのは見ているとわかるし、自分は大のメジャーリーグファンで、休日は朝からメジャーリーグ中継をずっと見ていて、専門雑誌を定期購読しているくらいのマニアなのであるが、その雑誌「slugger」で連載を持っているほどのメジャーリーグマニアである牧野真莉愛の顔はその中でもハッキリとわかる。いつかメジャーリーグ対談なんかをしてみたいなと思うくらいに、メジャーリーグファンの中では女神的な存在だったりするのである。

そんなことを考えながらも、曲数めちゃくちゃやってないかこれ?と思って気付いたのは、挨拶的なことだけを口にして、あれだけ踊って歌っているのに、MCらしいMCを全く挟んでいない。それは気付いた時には驚愕してしまうくらい、メンバー全員がとんでもない体力を持っている(今まで見たアイドルのライブでこんなに喋らなかったものを他に見たことがない)し、何てストイックなライブをやるグループなんだと。それはかつてテレビの音楽番組で無茶苦茶な企画をやらされていた頃とは全く違うグループのようだった。

そんな中で最後に演奏されたのは、やっぱり懐かしさも感じながらも、今のメンバーたちの歌唱力を感じさせる「I WISH」。

「人生ってすばらしい ほら誰かと
出会ったり恋をしてみたり」

という歌詞は、こうしてデビューしてから長い年月の果てに自分がこのグループのライブを観る機会が来たこともまた出会いなんだなと思った。

それは自分が世代的に幼少期にこのグループが大ヒットしていたのを見てきたからかもしれないが、今のアイドルグループの曲を自分はほとんど知らない。モー娘。だって決して興味があったわけではないけれど、それでも耳に入ってくる機会がたくさんあった。(テレビの音楽番組くらいしか音楽を聴く機会がなかった時代だからかもしれないけど)
そうした時代の最後のスーパーアイドルグループがモー娘。だったんだな、と今になって思う。ああ、クラスで知らないやつなんかいなかったもんな、と思うと同時に、当時の同級生たちは今何をして生きてるんだろうか、なんてことにまで思いを巡らされてしまった。自分の人生の一部、青春の片隅に確かにモー娘。の音楽が存在していた。
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