0006名無しさん@お腹いっぱい。
2006/08/19(土) 17:43:05ID:PSfnJv4A0エビの天ぷらが一尾のっかった一杯500円のそばだ。
男は30年も前からほぼ毎日昼休みこの店に通っているが、一度も店員とは話したことがない。
当然、話す理由なども特にないのだが、今日男は自然に自分と同年齢であろう店主に話しかけていた。
「おやじ、今日俺退職するんだ。」
「へぇ・・・。そうかい。」
会話はそれで途切れた。
ほかに得に話題があるわけでもない。 男の退職は、今日が店を訪れる最後の
日であることを表していた。
すると突然、男のどんぶりの上にエビの天ぷらがもう一尾乗せられた。
「おやじ、いいのか。」
「なーに、気にすんなって」
男は泣きながらそばをたいらげた。
些細な人の暖かみにふれただけだが涙が止まらなくなった。
男は退職してからもこの店に通おうと決めた。
そして財布から500円玉を取り出す、
「おやじ、お勘定!」
「700円。」