私は「都議会のドン」内田茂の裏の顔をここまで知っている!
<ソース : iRONNA>
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野田数(教育評論家、元東京都議会議員)

 2009年の東京都議選で初当選し、2012年5月に会派から離脱するまで、私は都議会自民党の所属議員だった。その間から今に至るまで、
都連幹事長として君臨しているのが内田茂氏である。私が見た内田氏は決して弁が立つほうではなく、自らはめったに発言しない。自分は黙って
じっと座っていて、腹心から意向を伝えたり、内田氏の歓心を買うために回りの議員が進んで発言する状態を作っていく。それが内田氏の手法
なのである。

 私が初当選する前には、都議会自民党にも派閥があり、議論も活発に行われていたという。しかし2009年の都議選で自民党候補が大量に
落選したことで大きく変わってしまった。この都議選は民主党への政権交代が実現した総選挙の1カ月前に行われたため、都議選でも自民党に
対して逆風が吹き荒れ、気骨ある議員の多くが落選してしまった。

 しかしその間も現主流派の議員たちは当選し、現首脳部とされる議員たちも、落選したにもかかわらず自民党都連や都議会自民党の役員に
とどまったのである。実はこの役員留任が自民党都連の中で大きく問題視され、当時の国会議員たちが排除しようと試みた。だが、彼らも
また政権交代選挙で大半が落選したため、都連所属の国会議員の数も少なくなっていた。

 当時の石原慎太郎知事も加わり、石原伸晃都連会長以下、都連の国会議員は落選した内田氏を都連幹事長から外そうとしていた。しかし、
都議会議員の数が圧倒的に多く、多勢に無勢であった国会議員と石原知事は都議会議員の抵抗になすすべがなかった。加えて東京都連の
幹事長職は、東京都内の各級選挙の公認権を持ち、業界団体に対しての影響力も強いため、小選挙区選出の国会議員は最後まで抵抗し
きれなかったのである。そのときの抵抗も内田氏本人が前面に出るのではなく、側近で現議長の川井しげお氏が数少ない国会議員の前で
机をバンバン叩いて威嚇していたという。私も会派の控え室で「内田先生じゃないとカネ作れないじゃないか!」と凄んでいるのを
聞いたことがある。

 その結果、当時内田氏を下ろそうとしていた石原都連会長と平沢勝栄都連総務会長は、もはや逆らえないとあきらめて、今や内田氏
のいいなりになってしまった。今回の都知事選でも、一度内田氏に弓を引いた人間が内田氏の歓心を買うために、小池百合子元防衛相
を必要以上に攻撃したことも容易に想像がつく。

 また、2011年7月1日に自民党所属都議会議員の樺山卓司氏が自殺した後、都議会上層部のご機嫌取りかウケを狙ったのかわからないが、
若手の議員たちがこぞって樺山氏の自殺を揶揄するような発言をしていた。さらにベテラン議員たちもまた酒の肴のように冒?を通り越した
言葉を発していたのである。若手からベテランまで、まるで「ポイント稼ぎ」としか思えないような異常ないじめ方だった。

 樺山氏が自殺した時も多くの国会議員に相談したが、誰一人として声を上げてくれる人はいなかった。みんな厄介ごとのように、樺山氏
の問題を封印したのである。この自助能力のない自民党都連が現状のままなら、都民にとっては不利益しか与えないだろう。

 東京都議会は首都東京を牽引する議会だから、開かれた議論闊達な場だとお思いの有権者も多くいただろうが、実態はそのようになって
いない。都議会を一言で言えば、ムラ社会であり、ムラ議会なのである。議論など一切行われず、とりわけ都議会自民党の所属議員は
上層部の決定に追随するだけである。たとえ賛否が分かれる案件も一糸乱れることなく賛成するのは、このような体質によるものだ。
本来であれば、政策も自民党内で様々な議論があり、意見集約を経た結果、賛成か反対か判断するはずだが、そのようなプロセスもない。
このものを言わせない体質が大きな問題であり、都民からの不信感を呼んでいる。