酒々井の謂れ

−昔むかし、印旛沼の近くの村に年老いた父親と息子が住んでいた。親思いの息子は酒好きの父親のために毎日一生懸命働いて、父親に酒を買っていた。ところがある日、どうしても酒を買う金を用意できなかった。

 「このまま帰れば父の楽しみをなくしてしまう。こんな親不孝はない」。途方に暮れて歩いていると、道端の井戸から良い香りが漂ってきた。水をくんでなめてみると、なんと酒の味がした。


 父親は「うまい酒だ」と喜び、息子はこの日以降、毎日井戸から酒をくんで飲ませた。

 だが、この井戸は親子以外の人が飲むと、水の味しかしなかったという。周囲は「きっと、孝行息子の真心が天に通じたに違いない」とほめたたえ、村は「酒々井」と呼ばれるようになった。

※酒乱のオヤジとそのオヤジにどんど酒を飲ませてさっさとくたばらせようとした息子もしくは、
酒乱のオヤジに催眠術をかけて水を酒と思わせて飲ませた息子の話でした。