>>102
同じような理屈でツシマヒラタとタカラヒラタをかけて売った人がいるよ。リストも手元にあるけど1993年の話。火元はあの虫研、Yさん。
リストはクワガタ通信19号(1993年12月号)の末尾に付属してます。今見たら、ペアで2000円、サイズは不明。

この時代はP社のバイオヒラタとか出回ってたから、交雑させて育種するのは、ブリードの可能性を広げる手段だった。

小島氏が交雑実験をしたのは、初めは興味本位だったという。後にその言説が「分類学者は形態のみでなく、生殖隔離を含めて検討すべき、交雑実験はその時に大きな力になる」と変遷している。

彼はその頃、タイワン×国産とタイ産×国産の羽化個体について解説している。虫研『オオクワガタの本』(1994)に詳しい。もちろん一般の飼育者に推奨しておる訳じゃないよ。だってあの頃はタイワンオオもタイクルビも、そう簡単には手に入らなかった。値段もバカ高かったしね。入手できるのは限られた人達だったし、分類屋と呼ばれる人達も、外国産クワガタムシには遅れを取っていたように思う。

むし社の図鑑が1994年に出てからだよね、水沼・永井両氏の奴。
テキスト版は未だに発行されず、永井氏は亡くなり、藤田図鑑が出たから、影は薄くなったけど後に与えた影響は凄まじかった。

小島氏の考え方は、当時は分類屋への視点の欠落を指摘したものだが、今となっては「その手があったか!」という指南書になってしまった。皮肉だよね。

翻って現在、例えばパラスマみたいな個体を血統として確立したい!という欲望を規制する法律はないから、(その人が業界からどういう扱いを受けるか別として)自由に育種する人達が出てきて当然よ。犬猫や熱帯魚と同じよね。メダカもそれに近い。

後は住み分けの問題だよね。交雑したならしたで、種親の情報もつまびらかにすることが、新たな市場を産む可能性は十分にあるし、自覚してないだけで荷担している人は山ほどいるよね。

オオサンショウウオの例もあるが、基本的に混ぜないようにするというのが多様性保護のスタート地点なんだが、混ざってしまってしかも妊姓があり、遺伝子調べてようやく違いがわかったなんてのは、そもそも同種だよ。だから混ざっても生きていけるなら、それは新たな多様性を産み出したことにもなる。

危惧されるのは、犬猫のように人間に飼われることが前提のものと違い、半分は自然に属するし、いつでも飼育下のものを遺棄できる手軽さがあることかな。
交雑種が日本の四季を乗り越えられるかとか、今の自然のキャパシティで安定して棲息できるか、他の生物との関係が崩れて(特に菌類は影響大きいだろう)、結果として森林環境などに大きな悪影響が出たとき、取り返しがつかなくなるってことだな。

だから交雑はなるべく控えた方がいいが、自分で最後まで責任を持つ覚悟があるならやってもいいんだよ。ただし、詐欺はダメだよ!