ちょうどこのころ、名古屋で開かれた小さな子どもたちのスケート教室で、浅田真央が先生役をする姿を見たことがある。

「はい! みんなこっち見てー」
「真央についてきて!」

子どもたち相手に大はりきりの様子があまりにもおもしろく、報道陣が笑って見ていると、愛知県スケート連盟の人たちが教えてくれた。

「試合では『氷上の妖精』なんて呼ばれているけれど、ふだんの真央はリンクのガキ大将なんですよ」

ガキ大将がある日、可愛い男の子を見つけて、フィギュアスケートに誘ってしまった──そんなシーンが目に浮かぶ。