86 名前:Socket774 (ワッチョイ 916a-2tyn)[sage] 投稿日:2023/11/23(木) 09:10:23.24 ID:O5Hr4pax0
BOINC公式フォーラムに投稿されていたニュースに論文が紹介されていたので読んでみた。英語は苦手なのでGoogle翻訳を使った。

論文では、BOINCを含む、市民科学者が参加しているプロジェクトから、3つの主要な活動のスタイルを選んで、それぞれの人口動態を調査し、指標をもとに分析し、論じている。次のようなことが書かれていた。

・分散型の自然観察(例:バードウォッチング)は成長しているが、分散型の分析(画像やテキストの分類、タンパク質フォールディング)や分散コンピューティング(BOINC等、科学計算)では減少している。分析疲れという言葉が使われていた。
・前者は若い人が多く、性別も平均的。後者は男性が大半を占めている。
・人口あたりの参加者は、先進国では高めになる傾向だが、日本は自然観察系が平均より大幅に低く(日本の自然は多様だけど)、残りは平均的。
・ボランティアが役立っている状況の指標として、統計的なもの(労働力の提供、参加者数、アクティブ人数)、動的な変化(新規参入、別プロジェクトへの移動、撤退)、参加者プロフィール(職業、年齢、民族、学歴など)を提案している。
・市民科学者による貢献
 (1)自然観察:センシングでは市民科学者の活動が重要。
 (2)分析:市民科学のAIへの統合が進む傾向にあり、市民科学者の必要性が低減する可能性がある一方で、AIの訓練に市民科学者のデータが使われていることでバイアス管理が重要。
 (3)コンピューティング:2022現在、BOINCはペタFLOPSで単一スパコンと同等のパフォーマンスを科学計算に提供している点で重要。
・このほか、市民科学プロジェクトは科学教育にも貢献して、質的に異なる、積極的な科学体験の機会を提供している。

冒頭に、これだけの規模で人口動態を調査したのは初めてで、他の研究のベースラインになると書いてあったが、それぞれのプロジェクトのデータ収集から前処理に手間をかけているのが印象的だった。

Quantifying online citizen science: Dynamics and demographics of public participation in science
オンライン市民科学の定量化 科学への市民参加の動態と人口統計
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0293289#