今ではすっかり定着した いわゆる「丼もの」の中でも
味わいはもちろん、歴史的に見ても「カツ丼」ほど奥深い料理はない
と私は考える

そもそもがとんかつ自体が西洋料理から和食に転じたオシャレなハイカラ料理でありながら
しかし「丼もの」とりわけカツ丼というのは
刑事が犯人を取り調べる時の店屋ものの定番であり
いわば卑しい食べ物の代表でもあった

しかもとんかつ自体は依然として高級料理なのにである

そして昨今、カツ丼は蕎麦屋のメニューとして定着しながらも
店舗がどんどん減少しており、リアルカツ丼は絶滅の危機に瀕している
もちろんメニューとしての、レシピとしてのカツ丼自体は残っている

しかし、本物の蕎麦屋の 天然物のカツ丼は 減少の一途をたどっている
これでいいのか いいのか これで

天然物のカツ丼はこのまま消えてしまうのかもしれない
でも、本当のうまいカツ丼を、やっぱり食べたくないか?

本当にうまいカツ丼なら 高い金を払ってでも食いたくないか?