0706電波くらげ ◆WaveBUvvo.
2019/01/09(水) 07:10:09.64彼はまず漫画原稿用紙一面に赤のインクを塗り
予定していた構図をホワイトを使って描いた
そろは最早漫画雑誌の巻頭カラーではなかった
アートだ
どうだろう
いけませんかね
きみは
尋ねられた脚本家は窓の外に目を遣ったまま
うん
とだけ発音した
しかしね
納得のいかない顔でスキャナを見つめる男の
考えている事など見透していたので原稿をスキャナに挟んだ
そしてスキャンボタンを押そうとする手を
脚本家がとめた
デザイナの仕事はイラストレータの仕事ぢゃない
三次元化したければグラフィックデザイナがやる
ディジタル処理などした事の無い漫画家に
イラストレィションを超えたアーティスティックな作品を出させて
これ以上無機質化を図るというのはあったとしても
彼の仕事ぢゃ無い
そのうえにこれはアートと一言では表しがたい
完璧な二次元を造り出した物だ
赤と白の水墨画だ
滲めば灰色に成るように
滲んだ桜色が生っている
絵画だ
日本画だ
掛け軸だ
そんな真赤な掛け軸薄気味悪いがね
クケッとカエルの鳴き声のように笑うと
彼の手を放しスキャンボタンを押した