>>209-210
おはよう。
あなたが、朝刊太郎君(仮)でいいのよね?
それでね、ミサ・ソムレニスだけど、これはただの宗教音楽じゃないんですよ。
ベートーヴェンは壮年期のミサ曲ハ長調と、晩年のミサ・ソレムニス ニ長調を残しているんですけど、
前者は「伝統的な教会音楽の上に作られた作品」であるのに対し、後者は「単なる教会音楽を超えたより深く普遍的なものを含む」と見るのが一般的なんですね。
その理由としては、テキスト自体はカトリックの典礼文に則っているものの「クレド」以降の歌詞の取り扱い方が伝統的なそれとかなり異なっている事や、実際にミサの式典中に演奏すると儀式とこのミサ曲との調和が殆ど見られない事などが挙げられています。
したがって、ミサ・ソレムニスは、主として教会でなく演奏会で演奏されます。
ベートーヴェンはカトリックを信仰し、その倫理観を守っていながらも、権威的・教条主義的なキリスト教会に対しては十分批判的な思想と宗教観を持っていたと言われています。
例えば、ワーグナーはこのミサ曲を「真正なベートーヴェン的精神を持つ、純粋な交響曲的作品」と評してますし、
パウル・ベッカーなども
「素直な信仰から生じる歌詞に、音楽を合わせる様な処理はベートーヴェンの考えには現れえず、
音楽家として自身の深く自由な思想を、単なる歌詞の意味を超越した音楽によって表現した」
と語っているんです。
なかなか興味深いでしょ?
朝刊太郎君(仮)はどんな合唱曲が好きなのか教えてください。