中国武術は、日本では「中国拳法」と俗称で呼ばれることもあるが、中国では単に「武術」と呼ぶ。中国武術を指す言葉と
して一般に用いられている功夫(カンフー)は、本来は鍛錬や訓練を蓄積することを意味する言葉で、米国でテレビドラマによ
って英語読みされ、誤って広まったものである。
 中国武術には、拳法のみだけではなく武器術も含まれる。武器は中国では器械あるいは兵器と呼ばれる。
 中国において、武術の目的は「看」、「健身」、「実用」、すなわち美しい演武を行うこと、身体を鍛えて健康を目指すこと、
そして相手を殺傷できる力を身につけることの3つとされている。「看」の側面が強調されたものが表演武術であり、「健身」
の側面を強調したものとしては、太極拳が有名である。「実用」の側面を強調した武術は、現代では表立って行われること
はあまりない。いずれかが強調される場合はあるものの、この3つが揃ったものが武術であり、いずれかを欠いたものは、
武術ではなく、舞踊や健康体操、あるいはただの格闘技となってしまう。