ヴィバカ・ヴェニマ、白石早樹子、田村栄治、BBCニュース(ロンドン、東京)

三重県桑名市の多度大社で例年5月にある「上げ馬神事」に、多くの批判が集まっている。今年はけがをした馬が殺処分され、動物虐待との指摘も出た。この事態に、主催者側は神事を改善する方針を発表した。680年の歴史を持つというこの行事は、今後も続くことができるのだろうか。

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鎧(よろい)に身を包んだ若い騎手が馬にまたがり、急坂を駆け上がる。観衆から大きな歓声が上がった。坂の上部には人の身長ほどの高さの土壁が設けられている。馬と騎手はこれを乗り越えなければならない。

坂の手前の狭い道には、数十人の男たちが手をつないで並び、声を合わせている。馬が壁を乗り越えれば豊作になるとされており、自分たちの地区の馬と騎手に力を与えようというのだ。

しかし、馬は壁のてっぺんに腹を引っ掛け、動けなくなった。脚をバタバタさせている。その後、馬は氏子(うじこ)らによって縄で壁の上へと引き上げられた。

別の馬は、壁にあごを打ちつけると、騎手もろとも後ろに転げ落ちた。この場面は動画に記録されている。