隣のベッドの女の子が私に同情したのか折り紙の鶴や奴さんなんかをくれた。
「ありがたい」と思う反面、右腕が使えるその子や妹が妬ましかった。

妹が目の前で私が見舞いに貰った玩具で遊ぶのも苛立たしい。
例の塗り絵を妹がいちいち見せつけてくるのが鬱陶しい。
しかもそれで怒ればめっちゃ叱られるのが目に見えてる。

私は妹を無視して天井を見て1日過ごしていた。
妹がママに会う為に見舞いに来るのは分かるが、何故わざわざ嫌がらせするのかその時の私には分からなかった。

実は妹は付き添いで母が病院に泊まってるのが気に入らなかったのだ。

「ママー!ママがいない!バカの小姉は狡い!ママを独り占めするな」
と夜に泣き叫び、怒った父に
「なんでママがいないか理由を考えろ」
と家から閉め出された。

妹の号泣と叫び声を聞き、近所の人が虐待を疑い集まってきた。

「こいつがイタズラしたせいで真ん中の娘が怪我をして入院した!妻は付き添いで病院にいる」
と父は説明して近所の人たちは解散。
なんだかんだで隣のおばさんが取りなし妹を家に入れたらしい。(姉談)

それから妹はママに会うのと同じくらい私に嫌がらせをするのが楽しみなったようだ。

姉は塗り絵騒動以来、妹を連れて来なくなったが父が妹を連れてきた。
(ちなみに姉は妹が持ってた手提げの中身は知ってたが私から横取りした物とは知らなかったようだ)

腕を吊り、ただ天井を見ている私。
見舞いに貰った玩具やお菓子を妹に渡す母と、それを私に見せつけながら食べたり遊んだりする妹。

そんな光景を見た父は翌日、私に包装紙に包まれた箱を差し出してきた。
喜んで包装を解こうとする妹を父は止めたが右腕を吊ってる私には包装は解けない。
姉が包装を解き、私の前に置くと箱を開けた。

それは小さな流しと食器がセットになったママゴトセットだった。