元彼
でも、昨日みんなで話したこととかもあるジャないですか?
そういうのも全部合わせて思い返してたんですよね。
で、そしたら涙が出てきて。嘘じゃなくて。
で、多分憶えてる間で泣いたことってなくて。
普段普通に生きてて泣くとかってあります?
強い男とか言いたいんじゃないのはわかってくれますよね。
そうじゃなくて、そういう機会自体なかったって意味で。
同情してほしいとかじゃないですよ?
本当に涙がだーっ出てきて。
誰にも見られてないから、恥ずかしいとかはないんですけど。
とにかく本当に夜泣いたんですよ。
で、ある程度泣いて泣き腫らして、そしたら少しまた冷静になれまして。
で、自分はいったい何に泣いてるのかって考えたら、
よくよく考えて考えたら、
原因は、私ちゃんに脅されたことだったんです。


…は?



「いいから黙って聞いてなさい?」

元彼
「なんか話が飛ぶと思うかもしれないんですけど、変な例えみたくなるんですけど、
野生動物とかの番組で、母親がぐわーっと怒って我が子を襲おうとしてる
天敵とかから必シで守ろうとするやつあるじゃないですか?
あれとかぶったっていうか。変な例えですけど、真面目に考えたんですけど」


「母ヌーとか、母バッファローとかのやつとかすごいんだよな。ごめんごめん」

元彼
「なんていうか、私ちゃんはあの時、なり振り構わずに、俺との子供を
必シになって守ってくれようとしてたのかなって。
誰に何と言われても、その子を守るんだって。
例えそれが我が子の父親でも」

元彼
「勝手に美化した感じかもしれないんですけど。でもそんな風に思えて。
なんかそしたら、誰かに何かを言われなくてももうわかりました。
そんな風に俺との子供を大事に思って守ってくれようとした人を、
一人でよそで生きていかせたとしたら、俺は何をやってもどこで生きても、
もう幸せにはなれないって。
結局自分中心で考えてるんですけどね、でも結果やっぱりこのまま知らないでは
自分も済まされないってことはわかったんです」