(コピペの続き)
私は、営業の担当地区が決まり、私の担当地区外の、GーM社とは、それ以後疎遠になり、当社試験器の、年間検査も、
毎年訪問している、当社の技術者と、他の営業者が同行訪問していました。

2年ぐらい経過してから、毎年訪問している、担当技術者の上田さん(仮名)に軽い気持ちで、「今年も、検定でGーM社に行ったんやろ。」
「ええ、毎年行っています。」
「ところで、あそこの試験室に、日本パンライターの
 和文タイプライター在ったよね。」
「あなたと行った、翌年までは在りましたよ。」
「今はありません、今はワープロを使っておられますよ。」
「担当者の、真田さんはお元気。」
「お元気で、大変よく対応していただいています。」
「真田さんて確か、メガネをかけておられて、少しメジリが上がり気味だったよね。」
「・・・・・・。」
「何が言いたいんですか?」
「真田さんが、キツネ目の男やと言いたいんですか?」
「そう言う冗談は、言わない方がいいですよ。」
「まだ何も言うて無いがな。」
「そう言うところをみると、かなり疑ってるんと違うか?」
「メジリが上がっている人なんて、何処にでも居てはりますよ。」
「日本パンライターの和文タイプライターを使っている人も。」
「グリコの社長が監禁されていた防水倉庫は、北摂の摂津市だったよな。」
「会社は北摂の高槻市ですけれど、その防水倉庫は本当に付近に住んでいる人で、防水倉庫利用者の関係者でないと、使えないはずでから、
 GーM社からは、そんな事が簡単に出来るほど、 近くないですよ。」

「グリコの社長を、その防水倉庫に監禁したんだから、常時監視していなければならないし、食事も用意
 しなければならないんですから、よほど近くに住んでいるか、拠点が(会社など)摂津市の国鉄鳥飼車庫基地の近くに無いと駄目でしょ。」
「確かに、工場がもっと防水倉庫の近くに在れば心配やけどな。」
「何が心配なんですか?」
「やっぱり、こんな大事件なんやから、
 君から警察へ、連絡せんと。」
「勘弁して下さいよ。日本の警察は世界一優秀ですから。すぐに犯人を捕まえてくれますよ。」
「まあ俺たちが心配することないか。」
「あの試験室に、試薬棚があって、シッカリ鍵がかかってたけど、あの中に、青酸ソーダ入りの試薬瓶が
 あったりして?」
「又心配さして、来年校正検査に行ったときに、 見てきますよ。」
 数年後、上田君に、キツネ目の男の事を思い出し。

「キツネ目の男まだ捕まれへんなあ。」
「試薬棚の中見るの、忘れてましたわ。」
「何やそうかいな、でもたとえ青酸ソーダが、
 試薬棚に有っても、我々が何かをすることは、できへんよな。」
「だって、我々の会社のお得意様のことを、軽々と、警察に連絡なんか出来へんよな。」

「警察への通報は、何千件もあるけれど、確かのものは、
 ほとんど無いと、前にテレビで言ってたよな。」
「その内、優秀な警察が、私たちが心配しなくても、犯人を捕まえてくれますよ。」

それから何年かたち、グリコ森永事件が時効になったと、テレビで、報道していました。
「上田君、グリコ森永事件、時効になってもたなあ。」
「警察はいかに頼りないかですよね。」
「まあこれで、私たちの勝手に心配していた、世迷い言も時効と言うことですね。」

それから十年以上がたち、パソコンで、地図が見られる様になり、会社の名前を入力すると、住所と、地図が簡単に表示できるようになりました。
何気なく、本当に何気なく、GーM社を検索してみました。
「あれー? あの会社、知っている本社の住所と、別に分工場が在ってその、もう一つ住所、此の住所ナンヤ!!」

そこに茨木市の、あの防水倉庫に近い、本当に近い摂津市の住所が表示されていました。
その住所は、グリコの社長が、監禁場所の水防倉庫から逃げ出し、助けを求めた、国鉄の鳥飼車庫基地に道を隔てた、向かい側にありました。
その工場から、焼き肉の大同門は車で五分以内の所にありました。