ロックというのはブルースからビートを経て音楽的な新しさを目指すようになったジャンルのこと。
最初はアメリカからのブルースジャム演奏の輸入で始まり、同じコードを30分とか延々くり返しながら
シャウトや楽器で客を煽り、どれだけ盛り上がったかを競っていた。3分で終わるコピー曲や持ち歌を休み休みやるバンドは
まったくいなかった。30分くり返す最初のさわりをレコーディングさせてもらえるバンドが現れ、そのさわりの曲が
普通にチャートインするようになると、バンドは3分の曲をたくさんレパートリーにするようになった。これがビート。
ブルースの音色は残しながら長ったらしいブルースジャムをやめてビート音楽で商売を始めた彼らは、歪みギターが持つ、
弦楽団にも爆発音にも聞こえる音そのものに着目した。ブルースの流儀でただ弾きっぱなしにはしない方がいい音だと気づいた彼らは、
休符や楽器ごとの出入りや緩急や音の大小を細かく区切って曲を作る、クラシックやプロのポップスと同じやり方で曲を作るようになった。
ニールセダカやシナトラを聞いてこんなヒット曲を作りたいではなく、ちょっと練習すれば誰でもできるブルースジャムからの
遠回りで通常の曲作りにたどり着いた彼らは、通常の曲作りの人が絶対使おうと思わなかった歪みギターを持っていた。これがロック。