長編の詰将棋などで読みの力を深める勉強

――将棋の勉強法や質は変わりましたか。

渡辺 目の前の一局に勝つための勉強を増やすようになりました。棋譜データベースで対戦相手の情報を集めやすいですし、現れそうな課題局面を精査しています。また、棋士になってから逆転勝ちが減りました。自分が得意の終盤になっても、長い持ち時間だと落ち着いて対応されてしまいます。なので、序中盤で遅れを取れないようにするのがいまの目標です。

 実は三段リーグで、相手の対策はあまり立てず、ソフトもあんまり使っていませんでした。最新形の研究だけに偏らないように、長編の詰将棋などで読みの力を深める勉強を意識していたので。

――相手に研究でハメられそうで、怖くなかったですか。

渡辺 ハメられないように、最新定跡からちょっとずらすんです。逆にいえば、いい勝負の局面で地力の競り合いになったら、いい成績を残せる自信があったんでしょうね。当時はそれで戦えましたが
、いまの三段リーグはソフトの研究ゴリゴリで大変だと思います。