裸で15か月の“監禁”懸賞生活、知らぬ間に放送…なすびの壮絶な実話にショックを受けたトロントの観客たち
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 「電波少年的懸賞生活」は、「人は懸賞だけで生活していけるか」をテーマした1998年の企画だ。若手芸人だったなすびはオーディション参加し、その中から無作為に選ばれるとそのまま目隠しされて小さなアパートの部屋へ連れて行かれ、服まで取り上げられて全裸でチャレンジスタート。部屋から出られるのは、当選総額100万円に達した時のみ。少しずつ正気を失い、時に飢えるほど追い込まれながらも、15か月にわたって“監禁”懸賞生活を行った。なすびはその模様が全国放送されて有名人になっていたことも、懸賞生活で書いた日記がベストセラーになっていたことも知らなかった。

 実際に外から鍵を掛けられていたわけではなかったが、当時の彼は若手芸人という弱い立ち立場。さらに番組プロデューサー・土屋敏男の“追い詰められていた方が面白いものが撮れる”という考えの下、スタッフとの接触まで制限されて誰とも話せず、とても普通の精神状態ではなかったなすびは、「部屋を出た方が悪いことが起こる」と考えるようになっていた。

 そうして自殺を考えるほどに追い込まれていくなすびの姿に、上映後には「観るのがきつい映画。泣いてしまった」「家族、視聴者、何らかの機関など、誰か止める人はいなかったのか?」と反響が続々。別のバラエティ番組に出た際にメジャーで顔の長さを計られるなど、芸名の由来である外見いじりが続くことにショックを受けた人もいた。一方、このドキュメンタリー映画は、なすびがこの15か月で幸か不幸か人と人との結びつきの大切さを誰よりも深く理解するようになり、それが地元・福島の復興支援を続け、困っている人を見れば助けずにはいられない現在のなすびを形作った面があることも伝えている。