植物由来成分の「タキシフォリン」に肥満や脂肪肝の予防と治療効果があることをマウスの実験で突き止めたと、
国立病院機構京都医療センターや名古屋大などの研究チームが発表した。
肥満の進行により発症リスクが高まる肝がんの予防効果も期待できるといい、臨床研究を進め、5年後をめどに実用化を目指す。
論文は栄養学分野の国際学術誌「ニュートリエンツ」に掲載された。
タキシフォリンはシベリアに自生するカラマツなどから抽出されるポリフェノールの一種で、抗酸化作用があるとしてサプリメントなどに利用されている。
研究チームは、マウスの群れに通常食か高脂肪食を12週間与えて比較。
3%の高純度タキシフォリンを摂取させると、高脂肪食を与えても通常食とほぼ同程度に体重や体脂肪量の増加が抑えられたほか、
肥満状態のマウスにタキシフォリンを投与すると、糖や脂質代謝の改善や脂肪肝の抑制効果も確認できたという。
また、脂肪肝が悪化した非アルコール性脂肪肝炎から、肝がんへの進行についても、
マウスの再現実験では腫瘍数が3分の1になるなど抑制でき、副作用はみられなかったとしている。
タキシフォリン摂取によってエネルギー代謝を高めるホルモンの増加などが作用しているとみられ、ヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った実験でもホルモンの増加を確かめた。
特許を出願済みで、人への医薬品開発に向けて臨床研究を計画している。
研究チームを代表する京都医療センターの浅原哲子部長(糖尿病・肥満症)は
「現状で有効な肥満治療薬はなく、今回は脂肪肝や肝がんの抑制などにも劇的な効果が認められる世界初の研究成果だ。夢の長寿薬への応用が期待できる」と語った。
https://mainichi.jp/articles/20230124/k00/00m/040/093000c