【ソウル=溝田拓士】
韓国軍は26日、北朝鮮の無人機5機が同日午前10時25分頃から、南北の軍事境界線を越えて韓国北西部の領空に侵入したと明らかにした。
北朝鮮無人機による領空侵犯が確認されたのは2017年以来。韓国軍は戦闘機や攻撃ヘリコプターを出動させ、撃墜を試みたが、失敗した。
韓国軍などによると、無人機は翼の長さが約2メートルの小型だった。
5機のうち、1機はソウル首都圏の北部地域まで一時接近し、領空侵犯から約7時間後に北朝鮮側に戻った。4機は江華島一帯を飛行し、その後、姿を確認できなくなった。
韓国軍は、警告射撃を実施した上で、攻撃ヘリから100発ほど射撃して撃墜を試みたが、墜落による住民への被害を懸念したこともあり、結果的に撃墜できなかった。
また、聯合ニュースによると、無人機への対応で出動した韓国空軍の戦闘機1機が離陸後に墜落し、乗員は脱出した。
韓国軍は「明白な挑発行為」と北朝鮮を非難したうえで、「今後も徹底して断固対応する」としている。
同日には対抗措置として、無人偵察機を軍事境界線の北朝鮮側に飛行させるなどした。
韓国メディアによると、韓国軍の要請を受けて、ソウル近郊の金浦空港では午後1時8分から1時間2分間、仁川空港でも午後1時22分から48分間にわたって離陸が一時中止となった。
北朝鮮は核やミサイルと並行して、偵察用無人機の開発を進めている。今回の無人機による領空侵犯は、偵察目的だった可能性がある。
韓国では17年6月にも、北東部の山中で北朝鮮の小型無人機が発見された。
南部の星州に配備された在韓米軍の最新鋭ミサイル防衛システム「最終段階高高度地域防衛(THAAD)」の発射台や周辺の画像などが残されていた。
14年には、北西部のペクリョン島などでも墜落した無人機が見つかっている。
https://www.yomiuri.co.jp/world/20221226-OYT1T50154/