【クロアチア戦の「敗退」について】
カギカッコ付きの「敗退」としたのは、試合としては「引き分け」だから
120分戦って1-1の引き分けである
ただ大会の運営上、どちらかを準々決勝に進め、どちらかを帰国させる必要がある
昔はくじ引きで行っていたが、さすがに詮無いということで、サッカーっぽいPK戦を行っているだけだ
PK戦は別名「フットボーラーズロシアンルーレット」と呼ばれる
PK戦にもいろいろ戦略はあるだろうが、サッカーとは別物である

ただ、冷静に試合を振り返れば日本の敗退はフェアな結果とも言える
日本も健闘はしたが、全体的なクオリティはクロアチアに分があり、運に助けられていたのはどちらかと言えば日本
勝利の女神は最後に帳尻を合わせた

【ワールドカップの敗退の仕方】
ワールドカップはお祭りである
予選から数えると200チーム以上が参加する
優勝する1チームを除いて全てのチームがどっかで負ける
日本代表も「どっかで負ける」存在
だから、「どこまで勝ち進むか?」だけじゃなくて、「グッドルーザーになれるか?」も大事な要素
02年や10年もベスト16まで進んだけど、特に世界にインパクトを与えるような負け方じゃなかった
18年と22年は美しく散ることができた
今大会を通じて日本代表は世界のサッカーファンに良い印象を与えることができた

【日本サッカー界が手に入れたもの】
・ドイツとスペインに勝ったこと
これは単にグループステージを突破しただけじゃなくて、日本サッカー界に大きな財産を残した
それは自信
今後どんなサッカー強国と相対しても、試合前から怖気づくようなことはもう無い
試合が開始されて強国に45分間ボコボコに押し込まれて、先制点まで許しても、パニックにはならない
どれほど苦しくても残りの45分で僅かなチャンスを活かし逆転できると信じて戦い続けることができる
これはA代表だけではなく、世界で戦う年代別のユース、ジュニアユース世代にも良い影響がある

・日本のサッカーファンの基準が上がったこと
日本の柔道は相手がどんなに強かろうが、常に金メダルが「基準」である
それはプレッシャーにもなるが、そのことが日本柔道を最強たらしめている
24年前の日本サッカーはW杯に出場することが目標だった
ここしばらくはW杯でグループステージを突破することが目標だった
2大会連続でベスト16まで進出したことで、日本のサッカーファンはベスト16を新たなスタート地点として認識した
もうグループステージ突破で満足はできない
当たり前のようにさらに次のラウンドを求める高い基準を手に入れた

【22年ワールドカップの今後について】
日本は敗退したが、ワールドカップの本番はここからである
グループステージは各組で波乱が頻発したが、決勝トーナメントに入って、サッカー界は秩序を取り戻している
日本-クロアチア以外は、いわゆる名のあるスターたちが活躍し、いわゆる「格上」が余裕を持って快勝を続けている
ベスト16で消耗しなかった伝統国たちが万全の状態で相まみえる準々決勝は、好ゲームを期待できる

【日本サッカーの今後】
私はチャンピオンズリーグ至上主義者である
今回の代表は海外組が多くを占め、チャンピオンズリーガーも多く、とても好感の持てるメンバーだった
レギュラーとサブの力量差も少なく、どの選手が出場してもクオリティは落ちなかった
良く言えば層が厚い、悪く言えばどんぐりの背比べ
やはり最後に違いを生むのは強烈な個である
才能は育てると言うよりは現れるのを待つしか無い面もあるが、メッシやエムバペの誕生を期待したい