ベトナム人のソフトウエアエンジニア、チャン・チョン・ダイさん(29)は、「かつて日本で勉強や仕事をしていた友人らは日本へ行く価値がないと考えている。給料が以前得られた額よりも4分の1少なくなったからだ」と語った。
来年訪日する計画を取りやめるつもりはないチャンさんだが、当初想定したほど貯蓄はできないと予想している。

  ITサービスを提供するFPTジャパンの採用・人事担当責任者、ファム・ドゥック・マイン氏は、
日本で就職志望のベトナム人は今年下期に約40%減少する見込みだと語った。為替レートの影響が一因だと言う。

  ハノイに拠点を置く技能実習生送り出し機関ラコリの採用担当者、グエン・ヴァン・モンさん(27)によると、
同機関は年間約300人のベトナム人労働者を食品加工や建設などの日系企業40社に送り出しているが、
円安が人々の考え方に「深刻な影響」を及ぼしており、志望者は30%減少している。

こうした志望者減少は、歴史的円安でエネルギー・食料価格の高騰に追い打ちをかけた日本銀行による異次元金融緩和の副作用の一つだ。

  外国人労働者の日本離れは、低成長で賃金の停滞にあえぐ日本経済をさらに悪化させる可能性がある。
今後10年以内に1人当たりの国内総生産(GDP)で日本は韓国や台湾に追い抜かれる見込みだ。

  移民政策などを専門とする国士舘大学の鈴木江理子教授は、他のアジア諸国における出生率の低下は、
外国人労働者の獲得で日本も競争にさらされることを意味すると説明。
「以前は日本が入れてくれたら喜んで来るよという感じだった。
ここ数年の議論は選ばれる国になるのに努力しなければいけない」ということだと述べた。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-11-11/RL3V80T0G1KW01