イランで長年、体を洗うことを拒否していた隠遁(いんとん)生活者が、94歳で亡くなった。何十年かぶりに体を洗った直後だった。男性はメディアで、「世界で最も汚い人物」として紹介されていた。

南部ファルス州のデジャフ村に住んでいたアモウ・ハジ氏は、病気になるとして怖がり、50年以上、せっけんと水で体を洗うことを拒否してきた。

村の住民たちは、これまで何度かハジ氏をきれいにしようと試みてきたが、そのたびに逃げてきた。

しかし地元メディアによると、ハジ氏は数カ月前に圧力に屈し、体を洗ったという。

イラン国営のイスラム共和国通信(IRNA)は、ハジ氏はその直後に体調を崩し、今月23日に亡くなったと伝えた。

2014年のイラン紙テヘラン・タイムズの取材では、ハジ氏はヤマアラシが好物だと語り、地面の穴や、同氏を心配する村民が作ったレンガの小屋に住んでいると話していた。

身体を洗わないという選択については、若いころに受けた「心理的な挫折」が原因だと話した。

IRNAは、長年水浴びをしていないことで、ハジ氏の肌は「すす」と「うみ」に覆われていたと説明。また、腐った肉を食べ、古い缶でくんだ不衛生な水を飲んで暮らしていたと報じた。

世話をしようとしていたという

ハジ氏は愛煙家で、複数本のたばこを一度に吸っているところを撮影されたこともあった。

IRNAは、水浴びをさせようとしたり、清潔な水を飲ませようとしたりした行為は、ハジ氏を悲しくさせていたと伝えた。

一方で、ハジ氏の事例が体を洗っていない期間の最長記録なのかをめぐっては、議論になっている。2009年には、35年間、体を洗わず歯も磨いていないインド在住の男性がいるとの報道があった。その男性が現在どうなっているかは明らかになっていない。