東京拘置所に収容されている確定死刑囚の男性が、14年以上にわたりカメラ付きの部屋で監視されたのはプライバシー権の侵害だとして、国に約1900万円の損害賠償を求める訴訟を近く東京地裁に起こすことが29日、男性の代理人への取材で分かった。
代理人の大野鉄平弁護士などによると、男性は2013年に殺人罪などで死刑が確定。1審で死刑判決を受けた07年から東京拘置所に収容され、天井にカメラが付いた部屋に入れられた。
3畳半ほどで死角はなく、着替えや排せつも監視された。拘置所側に疑問を投げかけたところ、今年3月、カメラのない部屋に変更された。
大野弁護士は、男性は東京拘置所で懲罰を受けておらず、カメラ付きの監視対象になり得る自殺・自傷や逃走などをした事情もないとし「必要性を十分検討せず漫然と監視を継続し、プライバシー権を著しく侵害した。明確な理由のない24時間監視は見直す必要がある」と話した。
東京拘置所は「カメラ付きの居室にするかどうかは施設長の裁量で判断する。自殺や逃走などを防ぐため、綿密な動静把握が必要な場合に入れている」と説明した。訴訟については「提訴前なのでコメントできない」とした。(共同)